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銀行融資を受ける際の決算や数字のポイント

2017年6月29日

他人資本である負債のなかの借入金が借金です。

流動負債の借入金であれば1年以内に返済し、固定負債の借入金であれば、1年以上の長期にわたって返済を行います。事業を延ばすためにはまとまった資金が必要であり、ある程度借入金に依存せざるをえないから、借入金はあるのが普通で、もしもゼロならすばらしい会社だといえます。

借入金を返済することがどうしていいことなのか考えてみましょう。まず、会社が営業活動を行うためには必ず、売掛金や棚卸資産(在庫)、固定資産などの資産が必要となり、貸借対照表の左側である資産が増加します。

資産が増加すれば、当然負債・純資産も増加しますが、このときに自己資本が最初から十分あることは稀であり、他人資本である借入金が増加するのが一般的です。つまり資産を導入しつつ、借入金を返済できるのは会社の経営にかなりの余裕がある証拠なのです。

次に、会社の経営が順調で借入金をすべて返済することができたら、資金を他人資本で調達する必要がなくなり、他人資本に依存しない会社経営が可能となります。そして借入金を返済し終えた後には、利益がでれば利益剰余金としての自己資本のみが右側で増え、会社の経営状態はますます安定します。

さらに、自己資本の増加が資産の現金・預貯金の増加につながり、最終的にはキャッシュフローも改善されて会社はすばらしく成長するのです。

ただし、借入金を返済してゼロにするのは稀なケースですから、まずは借入金を少しでも減らす努力をしなくてはなりません。貸借対照表の右側である他人資本を減少させるためには左側の資産をコントロールする方法が有効です。

つまり、売掛金や受取手形などの売上債権をなるべく減らし、在庫を適切な量に抑え、必要のない固定資産の導入を防ぐことで、結果的に借入金を減少させるのです。

②自己資本比率を知ろう

自己資本比率とは、返済不要の自己資本が全体の資本調達の何%あるかを示す数値であり、<自己資本÷総資本(自己資本+他人資本)>の式で算出します。

自己資本比率が小さいほど、他人資本の影響を受けやすい不安定な会社経営を行っていることになり、会社の独立性に不安が生じます。自己資本比率が高いほど経営は安定し、倒産しにくい会社となります。自己資本比率は会社経営の安定性を表す数値であり、高いほどよいのです。

では自己資本比率がどのくらいなら倒産しない会社といえるでしょうか。一般に自己資本比率が70%以上なら理想企業、40%以上なら倒産しにくい企業といえます。TKC経営指標のデータを見てみると、自己資本比率の平均は赤字企業で-4%、黒字企業で27%、優良企業(黒字企業中上位15%)で53%。自己資本比率は高いほどよいですが、まずは40%を目指したいところです。

自己資本比率が高くなるとどういう会社になるでしょう。自己資本比率の増加は、他人資本の減少、つまり借入金の減少を意味します。借入金に依存した資金繰りからの脱却です。銀行から資金を調達しないかぎり「手形が落ちない」「支払ができない」「給料が払えない」状態から抜け出せば、資金繰りが楽になり、経営は安定して倒産しない会社となります。

反対に、自己資本比率が極めて小さく、借入金に依存した経営を行っている会社は資金繰りが厳しく、倒産して借入金が返済できない可能性も考えられるので銀行も融資を控えるようになります。つまり、自己資本比率の小さい会社は信用されず、資金調達が難しくなりますが、自己資本比率が高くなれば、会社の信用アップにつながるのです。自己資本比率を高めるためには、税引後純利益の蓄積である利益剰余金を増加させることで分子である自己資本を増加させるか、固定資産や売上債権、在庫をコントロールして資産を減らし、分母である総資本を減少させる施策が必要となります。



貸借対照表では自己資本比率に注目します。自己資本比率は<自己資本(返済不要の資本)÷総資本(自己資本+他人資本)>で求められます。自己資本比率が高いほど会社の経営は安定し、倒産しにくい会社となります。

③損益計算書を知る

損益計算書とは、「稼ぎ」から「コスト」を差し引いて「儲け」を導くものです。

あなたの生活に置き換えれば、給与明細表と賞与明細表を1年分集めたものです。親しい友人と給料の話になり、「私の月給は20万円」などと言うと、もの知り顔をして、「それは額面なの、手取りなの」と聞く人がいるでしょう。そう言われて改めて給与明細表をしげしげと見つめると、額面の給料からいろいろ差し引かれて、手取りの給料になっていることがわかります。

損益計算書の「稼ぎ」とは、額面の給料、額面のボーナスに当たります。毎日一所懸命働いて成果が上がれば、この金額は上がります。

そこから「コスト」を差し引きます。サラリーマンの場合、「稼ぎ」を生み出すために、モノを仕入れたり、人を雇ったりすることはないので、「コスト」とは、健康保険、雇用保険、年金、税金のことです。

これが額面の給料から天引きされ、手取りとなります。これが「儲け」です。儲けは多ければ多いほどすばらしいですね。

たとえば額面の給料が20万円で、社会保険と税金が4万円だとすると、手取りは16万円です。手取りを増やすためには、額面の給料がアップするか、保険と税金の支払い額が少なくなればいいのです。

つまり、「儲け」を増やすためには、「稼ぎ」を増やすか、「コスト」が下がればいいのです。サラリーマンの場合、額面の給料を、社会保険や税金が上回ることはありません。当たり前ですが、手取りはいつもプラスで、「利益」は常に出ているのです。でも、会社の場合は、「コスト」が「稼ぎ」を上回り、「儲け」がマイナスになることがあります。これを赤字といいます。反対に、「稼ぎ」が「コスト」を上回り、「儲け」がプラスになると黒字です。

損益計算書からはすなわち利益を知ることができます。

どれくらいの収益があり、どれくらいの原価がかかり、どれくらいの利益が出ているのかを読み解くことができます。

売上 – 原価 = 利益

シンプルな式で利益は導かれます。

④貸借対照表のバランスと利益!

まとめると、貸借対照表のバランスが良いことと損益計算書にてきちんと利益を生み出す体質になっているか、という二点につきます。
一般的に“数字が良い”とはこのことを指し、そして継続的に事業がうまくいっていることと見なされます。

数字が良い決算書を銀行に提出することができれば、すなわち資金調達においても非常に楽になりますので、これら数字に気をつけて自社の決算書をチェックしていくとよいでしょう。

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