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企業の価値評価について話すとき、そこで重要な役割を果たすのがディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)です。企業の将来のキャッシュフローを現在価値に換算し、その合計を企業価値とする手法であり、企業分析や投資判断に広く用いられています。しかし、その計算には複数の要素を精緻に評価する必要があります。本稿では、DCF法によるバリュエーションの算定方法と、その計算を正確に行うためのポイントを詳しく解説します。
DCF法の計算の第一歩は、企業の将来のフリーキャッシュフロー(FCF)を予測することです。FCFは事業運営により生み出される現金収入で、投資家に直接的なリターンをもたらす要素です。FCFの予測は企業のビジネスモデル、収益構造、成長戦略、市場環境などを理解し、適切に反映することが重要です。
具体的には、まず過去の財務データ(収益、費用、投資、キャッシュフローなど)を詳細に分析します。これにより、企業の収益力や投資計画、キャッシュフローの傾向を理解します。次に、市場研究や業界分析を通じて、ビジネス環境の動向や競合状況を把握し、これらの要素が将来のFCFにどのように影響するかを予測します。
例えば、あるソフトウェア企業の場合、サブスクリプションモデルによる収益、顧客獲得コスト、顧客ロイヤルティ、新規投資計画などを考慮に入れてFCFを予測します。また、市場の成長率、競合企業の動向、技術進化の影響なども評価します。
次に、予測されたキャッシュフローを現在価値に換算するためのディスカウントレートを決定します。ディスカウントレートは、未来の価値を現在価値に変換するための割引率であり、その選択には企業のリスクや投資家のリターン要求を考慮することが重要です。
一般的には、ディスカウントレートとして加重平均資本コスト(WACC)が使用されます。WACCは企業が資本を調達する際のコストを反映し、株式資本コストと負債資本コストの加重平均で計算されます。企業のリスクや資本構造を反映した適切なディスカウントレートの選択は、DCF法による価値評価の精度を高めるための重要なポイントです。
WACCの具体的な計算方法は以下の通りです。まず、負債資本コストは、利息負担を反映した後の企業の借入金利率です。これは企業が借入に対して支払う利息を税引後の利益でカバーする必要があるため、税引後の借入金利を使用します。次に、株式資本コストは、投資家が企業に投資するリスクを反映したリターン要求であり、一般的にはリスクフリーレートに市場リスクプレミアムを加えたものを使用します。リスクフリーレートは通常、安全とされる国債の利回りを、市場リスクプレミアムは株式市場全体のリスクを補償するリターンを示します。これらを企業の資本構造(負債と株式の比率)で加重平均することでWACCを計算します。
最後に、予測期間後の企業価値、いわゆるターミナルバリューを計算します。ターミナルバリューは、予測期間を超えて将来にわたり続くと見込まれるキャッシュフローの現在価値を反映します。予測期間の設定や永続成長率の選択などが重要なポイントとなります。
予測期間は企業のビジネスサイクルや成長段階に合わせて設定します。通常、5年から10年程度が用いられます。永続成長率は、予測期間後の無期限の成長率を指し、一般的にはインフレ率やGDP成長率などを参考に設定します。過度に楽観的な成長率を設定すると企業価値が過大評価される可能性があるため、現実的かつ保守的な成長率を選択することが求められます。
以上がDCF法によるバリュエーションの算定方法の基本的なフレームワークです。適切なFCFの予測、適切なディスカウントレートの選択、そして適切なターミナルバリューの計算が企業価値評価の精度を高める要素となります。それぞれのステップでは事前の準備と分析、そして緻密な計算が求められ、経済や業界の動向、企業のビジネスモデルや戦略、財務状況の詳細な理解が必要となります。
まず、以下の仮定を設けます:
・企業の最新のフリーキャッシュフロー(FCF)は¥11,000M($100M)。
・次の5年間も年々5%のFCFの成長率が続くと予測されます。
・5年後の永続成長率は2%と見込まれます。
・企業のディスカウントレート(WACC)は10%です。
それぞれの年でのFCFは以下の通りになります。
・Year 1: ¥11,000M * 1.05 = ¥11,550M
・Year 2: ¥11,550M * 1.05 = ¥12,128M
・Year 3: ¥12,128M * 1.05 = ¥12,734M
・Year 4: ¥12,734M * 1.05 = ¥13,371M
・Year 5: ¥13,371M * 1.05 = ¥14,039M
それぞれの年のFCFをディスカウントレートで割り引いた現在価値は以下の通りです。
・Year 1: ¥11,550M / (1+0.10)^1 = ¥10,500M
・Year 2: ¥12,128M / (1+0.10)^2 = ¥10,008M
・Year 3: ¥12,734M / (1+0.10)^3 = ¥9,496M
・Year 4: ¥13,371M / (1+0.10)^4 = ¥8,967M
・Year 5: ¥14,039M / (1+0.10)^5 = ¥8,421M
この5年間の現在価値の合計がDCF値となります。
その値は¥10,500M + ¥10,008M + ¥9,496M + ¥8,967M + ¥8,421M = ¥47,392Mです。
ターミナルバリューを計算します。公式は以下の通りです。
ターミナルバリュー = Year 5 FCF * (1+永続成長率) / (ディスカウントレート - 永続成長率)
・ターミナルバリュー = ¥14,039M * 1.02 / (0.10 - 0.02) = ¥180,508M
このターミナルバリューをYear 5での現在価値に換算すると、
¥180,508M / (1+0.10)^5 = ¥108,323Mとなります。
最終的な企業価値は、5年間のDCF値とターミナルバリューの現在価値の合計になります。
つまり、¥47,392M + ¥108,323M = ¥155,715Mとなります。
このように、DCF法を用いて企業の価値を算定する際には、予測キャッシュフロー、ディスカウントレート、永続成長率の3つの要素を精緻に予測し、その上で数学的な計算を適切に実施することが重要となります。
バリュエーションと資金調達は深く関連しています。企業バリュエーションは、企業の現在の価値あるいは将来の価値を評価する手法であり、これは投資家が投資の意思決定を行う際の重要な基準となります。
具体的には、投資家は企業のバリュエーションを見て、自身の投資が適切な価値を反映しているかを評価します。バリュエーションが高ければ、投資家は高いリターンを期待してより多くの資金を投じることを検討します。一方、バリュエーションが低ければ、投資家はその投資がリスクを十分にカバーしていないと感じ、資金調達に消極的になるかもしれません。
さらに、バリュエーションは企業が自身の資本構造を管理するための重要な手がかりでもあります。企業が新たに資金を調達する際、既存の株主の所有権が希薄化することを防ぐために、企業のバリュエーションを正確に評価することが重要です。
また、バリュエーションは企業が自社株を買い戻すかどうか、または配当を支払うかどうかを決定する際の考慮事項でもあります。また、スタートアップ企業の場合、資金調達のラウンドごとにバリュエーションが計算され、それに基づいて新規株主の出資比率や既存株主の希薄化の度合いが決まります。
スタートアップのバリュエーションは、その事業のポテンシャル、市場規模、競合状況、経営陣の能力など、多くの要素を反映したものとなります。
以上のように、バリュエーションは企業の資金調達活動における重要な要素であり、投資家と企業が公正な取引を行うための基盤を提供します。
作成物
パワーポイント10~15P
(+創業計画書など必要な書類)
パワーポイント20P前後
5~10カ年収支計画
キャッシュフロー計画
資本政策表
パワーポイント15P前後
5カ年収支計画
キャッシュフロー計画
(+創業計画書など必要な書類)